社会人になりたて、もしくは結婚や出産などを機に保険の見直しをする方が多いと思います。
職場での勧誘やほけんの窓口のような無料相談を受けた際、外貨建ての積立保険を勧められたことはないでしょうか?
一見、「生命保険をかけつつ貯蓄ができます!」「最低3%以上での運用を保証します!」「為替リスクのヘッジができます!」と言われ、魅力を感じる方も多いと思います。
しかし、金融リテラシーの高い人は間違いなく外貨建て積立保険には加入しません。
それはなぜでしょうか?外貨建て積立保険の仕組みを理解し、その上で継続するか検討をしてみてください。
外貨建て積立保険とはどんな商品か
保険掛金の支出は大きく掛け捨て型と貯蓄型に分かれます。掛け捨て型は毎月の保険掛金は少額で抑えられますが、返戻金などで戻ってくることはありません。それに対して貯蓄型は「保険+貯金」を組み合わせており、医療保険や生命保険を掛けつつ、保険会社に貯金分も支払って運用してもらう商品です。さらに貯蓄型の中でも円建てか外貨建て(主に米国ドル)に分かれており、日本円で運用・受取をするか、外貨で運用・受取をするかの違いがあります。
円建てと外貨建てのメリットとデメリット
★円建て
<メリット>
・毎月の支払額が定額
・解約返戻金が為替の影響を受けないため将来設計がしやすい
<デメリット>
・運用利率が少ない
★外貨建て
<メリット>
・円建てに比べて運用利率が高い
・外貨を持つことで将来のリスクヘッジができる
<デメリット>
・為替相場により毎月の支払額が変動する
・解約返戻金が為替の影響を受けるため、元本割れをする可能性がある
それぞれ相反するメリットデメリットを持っていますが、銀行利率からもわかるように米国の方が利率が高いため、運用利率が高く設定されています。
外貨建て積立保険のシュミレーション
実際に私が加入していた学資保険を参考にシュミレーションをしてみます。条件は以下の通りです。
・生命保険は80000ドル(1ドル103円で8,240,000円)
・積立利率 年最低3%保証
・毎月の積立額は200ドル(為替によりますが約20600円/月)
・払い込み期間15年とし、2005~2020年の為替レートを引用(最大124円、最低76円、平均103円)
・受取時の為替レートは上記の最大、最低、平均の3パターン
・15年の払い込み後、16年目から解約返戻金が元本を超える
この表から読み取れることは以下の通りです。
・受取時のレートにより元本割れする可能性がある
・同じ月額を年率3%(税込)で投資運用すると確実に資産形成ができる
・貯金はひどい
更に詳細を分析すると、
・為替レートが120円を超えた月は180カ月(15年)中、13回しかない(リスク大)
・払込額を大きく超過すると雑所得となり、税金がかかる場合がある
上記の表で為替レート124円、経過年数16年、で受け取った場合
((受取金額-払込金額-特別控除(最大50万))÷2)x所得税率
((5,121,792-3,983,372-500,000)÷2x15% = 319,210 x 20% = 63,842円
・もし、26歳男性が1000万円の生命保険を掛けると、月額約1000円のため15年で180,000円
個人的な見解(外貨建て積立保険は不要)
私は間違いなく外貨建て積立保険は加入しません。円建てでも同じことが言えますが、保険と積立は絶対わけて考えるべきです。正直、下手な投資商品より危険な商品だと考えています。死亡時80,000ドルであっても、為替レートによっては満足な保険金を受け取れない可能性があります。保険だからこそ必要な時に必要な額が欲しいのに、いくらもらえるかわからない時点で保険の意味がありません。
未来は誰もわかりませんが、もし死亡したら、もし為替が変動したら、もし・・・と、不安要素を掛け合わせた商品だからこそ本質をわかりにくくしており、営業マンの言われるがままに契約する方が多いのではないでしょうか。
外貨建て積立保険に加入する目的は何か?
あなたはどんな目的で保険に加入しようとしているのでしょうか。
生命保険または医療保険を受けるため?貯蓄をしたいから?将来に備えて外貨を持つため?
それを達成するためには外貨建て積立保険への加入が必要なのか?生命保険は掛け捨て、貯蓄や外貨は自分で投資運用にしたらどうか?いろいろ面倒だからとりあえず外貨建て積立保険に入るのか?
保険は長期間かつ多くの掛金を払っていく商品であるにも関わらず、意外とすんなり加入を決めてしまう魔力があります。これは死亡率や傷病の罹患率のデータを見せられて不安をあおったり、若いうちに加入すれば掛金が安い、もしもの時に生活資金が足りなくなる、といった勧誘を聞くうちに不安な気持ちとなり、選択肢が加入するかどうかではなく、どの商品に入ろうかというYES一択になっていきます。これでは保険会社に誘導されているだけであり、それが正しい選択なのかという判断がついていない状態になります。
加入の選択は家族構成、世帯年収、貯蓄等により人それぞれですが、最後は保険会社に勧められたものではなく、自分で選択した道を取ることが後悔しない選択になるのではないかと思います。
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